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2024年5月28日(火)

  • 北九州支店

【北九州】村野藤吾の茶室

『村野藤吾の茶室』 

 

北九州支店 住宅設計の池澤です。

5月という、新緑が美しくまだそこまで暑くもないこの時期に京都へ伺ってきました。

 

今回、色々な建築物を見ましたが、特に感動したのは村野藤吾が設計した茶室。

ザ・プリンス京都宝ヶ池の敷地内、鯉が泳ぐ池の畔に静かに佇む姿はため息が出る美しさです。

  


茶室の特徴の一つに、軒の低さと深さがあります。

軒は簡単に手が届くほどの低さとなっており、その低重心と屋根勾配の緩さが落ち着きと優しさを感じさせます。

 

茶室は、どんな身分の人でも頭を下げて中に入らなければ通れない躙口(にじりぐち)というお客様用のくぐり戸があります。

お茶を楽しむ時は、身分の高い・低いは関係ないんだよ。

という考え方で、この腰の低さが、建物全体の重心の低さに繋がっているのではと思います。


茶室建築は
決して奇抜ではなく、煌びやかに目立つこともせず、素朴でひっそりとしていて、どこか上品である。

日本特有の美意識である『侘び・寂び(わび・さび)』を体現しているように思います。

 

質素や素朴の中に美を見出す”侘しい”様子は、建物としての低重心や、飾りっけのない美しさから。

 

時間とともに古びていく、風合いが出ることに美を見出す”寂しい”様子は、木や、草、紙、土、石など、経年美化していく自然素材から。

 

新しいものばかりを求めるのではなく、『大量生産・大量消費』から『良いものを永く大切に使う』へと考え方を改める必要があります。

日本人が大切にしてきた侘び寂びと、和の精神を茶室は静かに教えてくれました。

 

【北九州支店】池澤 雅彦

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